雑記2 大アマゴとの出逢い



「テイペット6x、#16のパラシュートパターンでイブニングです。」
 これを聞いて、その釣り場の難しさを想像するとどうだろう?
それぞれの釣りのスタイルでその考えは多様であるとは思うが、ライズ狙いの釣りにハマって行く程、イブニングであってもティペットサイズは細く、フックサイズも小さい方が良いと思う様になり、視認性を捨てたフライパターンの方が効果がある。そう言った無駄な!?知識がどんどん身に付いてきてしまった私的には、「簡単な釣りじゃないのか?」と想像しているかもしれない。
 
 そして、「テイペット6xで#16フックのパラシュートパターン」で 如何なる状況であっても(流下する水生昆虫のサイズが小さかったり、ティペットを見る魚でも)このシステムしか釣りが成り立たない。いや、釣り人の私にとって不利になり過ぎてしまうと思う川がある。そこが、大アマゴとの出逢いの舞台であった。

明るい内に何とかしよう!!
 「明るい内に何とかしよう!!」が、最近の私の座右の銘。闇討ちで、魚にから見ればずるい釣り人でありたくない。明るい時間(釣りが難しい時間)に釣ってこそ腕がある証拠である。とか、自己満足を大きい物にする為で、深い意味は無い。だから狙いはイブニングでも出きるだけ早めに準備を整えて川へ入る。この日もそうであった。



04年7月17日

 16:00頃から釣りを始めました。増水続きでこの所ずっと納得の行く釣りが出来ていません。この日も、水量はちょっと多めで、入ろうと思っていたポイントは流れが強すぎました。だから、現場で予定を変更して流れの弱いプールの開きに入る事にしました。ここなら、ちょっとばかり「ボーット」していても間違えなくライズは確認出来るに違いない。そんな感じでライズを待ちました。だから、いつも(最近)と一緒弱気なイブニング・・・。

 日が傾き始めた18:30。思った通り何回かライズが起きます。しかし、小さい・・・。ひょっとしたら、群れているハヤがプチプチと水面に顔を出しているだけかもしれません。でも、ちょっ構ってみるかと・・・。
いやいや、そんなんじゃいけない。その場を離れ、元々やりたかった場所へ移動しました。

 やはり、川へ降りると水量が気になります。そこは仲間内では、「壷」とか言っているポイント。得てして釣り人は良く釣れるポイントとかは、あまり口に出したりしないもの。数々の鼻をへし折ってこそ、名ポイント。そんなんでこの俗称が付いたなら・・・本望。

 「壷」は強い流れがドカンと入るちょっとした深みであり、その太い流れが右に行ったり左に行ったり。その流れが移動した後にちょっとしたポケットが現れる。底の方から巻き上げられた波でできる水面の鏡。その鏡に条件が良いと潜水艦の様に大きな頭が浮上して来たりする。しかし、その鏡は一瞬にして消えてしまい。あとは、次に流れが接近してくるまで、小さな三角波がずっと立っている。この三角波、水がどかっと落ちる落差の大きい堰堤のプールに絶え間無く起きているアレを想像してくれればいいと思います。浮力の無いドライフライはあっと言う間に沈没させられてしまいます。
 
 19:00少し前、最初のライズがありました。さっきのハヤのライズとは雲泥の差はありビックリします。考える間も無くキャストに入り、数投目には24cmのアマゴをキャッチしている僕・・・・。

 十分ではないか?その通りですが「最初にライズする魚(小さな)を構うとその後の大きな魚が出て来ない!」と何処で聞いたか?この言葉こそライズの釣りの心得と我慢強く待てた時もありました。しかし、ずっとへこむ釣りが続いていたから待つ事が出来ませんでした。

 そもそも、「壷」のライズ。はっきり言って流下に伴ったライズかどうかも今だ確信が持てていません。散発ライズと言ってしまえばそれでおしまいかも。夕暮れに上ずった魚が水面に餌が流れて来れば顔を出して食べるし、水中に流れて来ればそれを食う。ただそれだけの事かもしれません。すなわち、「壷」なんて名付けてライズを待っていなくても、アップストリームキャストのポイント。釣り上がりで叩いて行けるポイントの一つなのかも。
 だから、この一匹を釣ってしまったら終わりのポイント。もちろん、1回魚に反応させてしまっても、これもおしまい。そんなポイントだと苦やし紛れに自分の中では思っていました。だから、今日はこの1匹で終わりなのかもしれないと少々残念に思いました。しかし、ポイントを移動してライズを探す時間もないので、ティペットとフライを新しい物に交換して次のライズを待つ事にしました。

最初にライズする魚を構うとその後の大きな魚が出て来ない!
 「最初にライズする魚(小さな)を構うとその後の大きな魚が出て来ない!」と言う心得を忠実に守れる様な時もあるのです。(調子が良い時)そんな時は、今だったらこのフライだとかこのティペットサイズだとか、一度もキャストもせずに何度も何度も交換する事ができます。しかし、この時はそう、最後の最後の組み合わせ「ティペット6xで#16フックのパラシュート」でした。
 それを、固視していた水面と同等の距離にキャストしてメジャーリングして、パウダーのフロータントのボトルの中に入れて待機しました。

 それは、突然に1つ、2つ!いや3つだったかもしれません。大きな頭が飛び出したのです。フロータントのフタを開けてそのまま無我夢中でキャストに入りました。
 次の瞬間に水面は割れ、僕のロッドは満月にしなっていました。後はホントの事、あまり覚えてはいません。とにかく強い流れに入られないように逃げ場に向かう魚の頭を、大声上げて必死にネジ曲げようとしていた僕がいたと思います。最後は、観念して浮き上がった魚を、逃げ込もうと向かっていた太い流れの脇の緩流ごとネットに納めたと言う事であります。

 その魚が、43.5cm。頭の片隅に全く無かった訳ではありませんが、とんでもない大きさのアマゴでした。・・・その出逢いは、あまりにも猪突にあったのでありました。



 独断と偏見、これ一方的であるかも知れない駄文を最後まで読んで頂きありがとうございました。

 釣り上げてしまったものだからなんとでも、誇張したり、語り口調になってしまっているのは間違いありません。
でも、釣り人ってそんなもの?私の記憶の中に残るこの魚のとの出逢いは、今後も大きな尾を付け、ピンと張った鰭を付けて大きくなっていくのでしょう。

Hirorin 2005年1月5日