雑記1 イブニングの釣り

私は、イブニングの釣りをする。

 イブニング(夕まずめから日没後まで)の釣りにおいて、「魚の晩飯時くらいは、そっとしておいてあげたい」と魚族保護的に考える。あるいは、紳士(淑女)的な意思を持つのもフライフィッシャーなのでは無いか。と、あまりこの時間の釣りを好まないひとも少なくはないと思う。
 また、自然と言う中で、闇と言う物ほど恐怖は無い。軽はずみな行動が事故や怪我に繋がる可能性もあると言った見方もあると思う。
 
 しかしこの反面、日中全く反応がなかったのにイブニングには数釣りが出来たりしたと言う話があり、これまた日中見られない様な大きな魚が釣れたり(見れたり!)したと言う話も多いと言うのは事実ではないだろうか?

イブニングの釣り

 イブニングの釣りへのアプローチ方法は、個々の好きな釣りのタイプによって分かれると思う。
イブニングタイムを釣り上がると言った、自分の好きな区間や期待出来る区間をマズメに合わせて釣り上がる方法。これが、一般的なイブニングのアプローチ方法だと思う。テンポ良く釣り上がり、徐々に上がって行く魚の活性を感じながら釣りが出来たならばその日の良い締めくくりになる。

 もう1つ。決めたポイントを目指して釣り上がる方法。一番期待が持てる(気になる)ポイントを決めておき、予想される最高の時間帯にここへ到着できる様に釣り上がる。 数・サイズと共に期待出来る方法だと思う。しかし、先行者の見極めや入退渓場所等の決定など、その釣り場へ精通して居なければ少し難しい方法。

 最後は、ポイントを1箇所に絞り、ライズが起きるまでそこで待つ方法。有名河川・ポイントでイブニングを行う場合は、この方法を選ぶ事になると思う。または、昼間取り逃がしてしまった魚や、たまたま見かけた良型の魚など、特定した魚を狙う場合などもこの方法が有効だと思う。私はこのスタイルのイブニングへのアプローチが一番多い。

フライとティペット

 ここからは、ポイントを1箇所に絞り、ライズが起きるまでそこで待つ。私の場合の話となる。

 フライはライズを狙う事となり、ハッチや流下に合わせたフライを予測、あるいは確認して選ぶのがまず第1だと思う。そこで、ハッチや流下する水生昆虫が大・中型なら問題はさほど起きないが、これが小型から極小なサイズとなる場合もある。しかも、その流下形態も様々であり釣りを難しくする。こんな時のフライ選択として、私は釣り人(自分)に有利なフライを選ぶ事が多い。

 ここで、有利なフライと言うのは視認性そして、フックサイズで考えている。
 更に、もっとも遭遇し易くて難しくなる小型から極小なメイフライのハッチ(流下)に話を限定して有利なフライを考えると、パラシュートパターンであり、フックサイズでは#16〜#18となる。なぜ、#16〜#18サイズと限定してしまうのか?と言えばやはり大きな魚が掛かった場合。闇が近づく中、大きな魚が掛かった場合の事を考えると・・・言う訳。



パラシュートパターンで・・・

 パラシュートパターンでどこまで、流下するメイフライをイミテーションするか?(出来るか?)

 ウイング・ボディー・テイルなど、流下するメイフライに合わせるのがまずは基本。スピナーや、DD(羽化に失敗したダン)へはハックルを薄く巻いたり、オーバーサイズのフェザーでハックリングする。これも、今は常識となっているかもしれない。スピナーに関しては、絶命してT字型になって流れる状態がDDとは異なるが、イブニングの釣りだけでなく日中の釣りでも、この2形態の流下までこだわってはおらず、(対応出来ず・・・。)同じフライで対応している。


 そして、これらはカーブドシャンクのフックにタイイングする事が多い。そして、フックの形状によって、ボディが水面下に入る事を前提としてフライを仕上げる。
 パラシュート形状である為、ウイングに相当する部分はハックリングの回数とカラー位の調整でしか擬似が出来ない。
 だから、この水面下に入る部分で何とか補いたいと最近はこちらの仕上げには工夫する様にしている。これは、フローテングニンフの形態も同じ。スレッドボディーでほっそり仕上げるのが一番簡単で効果がある時だってある。しかし、体節を表現したり、輝きを持たせてみたり、テイルのマテリアルを追求したりより本物に近づける工夫をする。

 
 とにかく自信を持って簡素化したパターンを、魚に1発で見破られた時程恥ずかしい事いは無い!!(笑)だから廻り回ってだが、今は、手間を惜しまずフライを巻く様になっている。




ティペットについて

 ティペットは、釣り人(自分)に有利を考えると太いに超した事は無い。そこで、フックサイズ#16〜#18でそれを、自然に操るとなると6xである。と、自分の中では思っている。だから、「6x」を基準にして、通常5x〜7xを使用する。実際の所8xが欲しい。先のフックサイズの話も同様で、#20以下を使いたいと思う事だってある。その人の力量や、その釣り場やポイントに精通しているかで、この数字は下げて行くのはもちろん可能な事ではある。それを考慮してもリスクは大きくなるのは間違いない事。だから、私は6xなのである。
・・・・どっぷりと、日が暮れた川で天を仰ぐのだけは勘弁して欲しいから・・・。

そして、最後に・・・


 なぜ、私はイブニングの釣りをやるのだろう?

大きい魚が釣れる事があるから?

 確かにそれもあると思う。でも、釣り上がりが主体の山岳部の渓流より、開けた川でライズを狙う釣りが好きだからだと思う。そう言う川は、山岳部の渓流が最盛期を迎える梅雨明け以降、まさに入れ違う様に日中の水生昆虫のハッチはほとんどなくなってしまい、ライズ狙いだと釣りにならなくなってしまうのである。だから、春からずっとライズやハッチを追っかけている内に、何時の間にかイブニングの釣りになっている。春先だってライズが在れば・・・やるけどね。




 独断と偏見、これ一方的であるかも知れない駄文を最後まで読んで頂きありがとうございました。

 今シーズンは、「よし、今日はイブニングに賭ける!」と言った意気込みも何処かへ吹っ飛んで・・・すっかり日が暮れてしまった河原をとぼとぼと帰る事が何日も続いた事がありました。そこで、なぜ僕はイブニングの釣りをやるのだろう?なんて考えた事がありました。短い時間にすべてを賭けて、ひょっとしたら結果しか問わないつまらない釣りなのかもしれないと思った事も・・・。でも、なぜか僕はイブニングの釣りが好きなんです。

 雑記・・・今シーズンを通して、自分のやって来た事を書き留めてみた訳であり、「イブニングの釣り」先に書いた通り魚族保護の為、自然の中での事故や怪我の危惧。ここではイブニングの釣りを解説し、勧めると言った意味合いを持って書いた訳では無いとご理解頂きたいと思います。

Hirorin 2004年11月1日